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学会発表

年末は12月30日~1月3日までは休診となります。

 

なかなかブログを更新する時間が取れずで、少し前の話題になりますが、12月2.3日に、東京で比較統合医療学会という学会が開催されました。

比較統合医療学会というと、よくわからない学会名かもしれませんが、、鍼灸・漢方・サプリメントやそのほか様々な『補完医療』とか『代替医療』と呼ばれる領域の学会です。

実は私は今回、この学会で発表してきました。

内容は、”手作り食”です。

こんな食事がいいよ、という話ではなく、ドライフードから手作り食に切り替えた、とある患者さんの血液データや体調の変化など、10分ほどでまとめて話しました。

以前も書きましたが、私は大勢の前で発表するのがホントに嫌なのですが、発表するからには恥ずかしい発表にならないよう一生懸命資料を作り、頑張って10分話してきました。

 

知り合いの先生方には『緊張してたね~~~』と口々に言われるほど、テンパっていたと思うのですが、『先生の熱意はよく伝わってきたよ』とも言っていただいて、一安心できました。

 

発表の具体的な内容はさておき、発表の資料を作る中で皆さんにお伝えしたいこと、、というか、問題提起したいことがあって今回のブログを書いています。

 

犬は、もともとオオカミが祖先であるため肉食だったのですが、人間のそばで共同生活を送るようになり、雑食の性質を持ったということは、一般的に認知されています。

なので、雑食ではあるけれど、”肉食寄りの雑食”の生き物、と捉えることができます。

 

犬や猫のフードは、アメリカのAAFCOという基準に基づき日本でも基準を作り、その栄養基準を満たしているものを総合栄養食と呼び、それを食べていれば犬や猫の健康は維持できるという考え方の上になり立っています。

なので、フードのパッケージには保証分析値というものが記載されています。

”水分”というものがあるので、本当は少々計算の仕方が変わるのですが、ひとまずこの数値を足し算すると、17+13+4+7+10=51%

さて、残りの49%は何でしょう?

正解は炭水化物です。

炭水化物は表記の義務がないらしく、一般的に”粗繊維(食物繊維)”は表記されていても、炭水化物は書かれていません。

 

今回、私は、肉食中心の手作り食を指導し、米や小麦などの明らかな炭水化物は一切使わず、肉:野菜=70%:30%の重量比になるように食事指導しました。

(ほかにも手作り食にはコツはいろいろあるのですが、ここでは省きます)

その子がいままで食べていたドライフードと、完全に手作り食にしたときの栄養組成の違いです。

手作り食は、文部科学省のHPにある食品成分データベースを参考にして、

実際の一日分の食事の中の栄養組成を計算しました。

 

パワポのスライドの添付の仕方が分からず、PCの画面を写メっているので見にくいですが、円グラフの黄緑がタンパク質、青緑が脂質、青が灰分、紫が炭水化物です。

グラフ化するとすごくよくわかるのですが、ドライフード(このフードの場合)は食物繊維を合わせると60%以上が炭水化物です。

ほぼ肉、ちょっと野菜の手作り食生活でもタンパク質は50%。

 

タンパク質は、体の構成成分であり、筋肉、骨、血、皮膚、毛、さまざまな消化酵素、ホルモンすべて、その原材料はタンパク質がもとに作られます。

炭水化物はエネルギー源です。残念ながら炭水化物はエネルギー以外の用途にはならない、体内でタンパク質に変換されません、、、つまり、いくら食べでも血肉の材料にはなりません。

過剰な炭水化物は体内でストックするため、皮下脂肪となります。なので我々の皮下脂肪の原因は油ではなく糖質(炭水化物)なのです。

ビタミン・ミネラルなどの栄養をしっかり取らなきゃと、野菜やサプリメントを足し算する方は多いかと思いますが、

体を作る上では、タンパク質があって初めてビタミンやミネラルが働くことができます。

ビタミン・ミネラルだけで体は作れません。

 

皆さん、これをどう思いますか?

人の食事で、タンパク質2割、炭水化物6割のメニューってどんな感じか想像してみてください。

 

このドッグフードもいわゆる巷にあるプレミアムフードの種類で、決して安い粗悪なフードではありません。

当然、総合栄養食の基準を満たしています。

ドライフードに関しては、いろいろなメーカーをチェックしてみましたが、タンパク質が30%を超えるフードはとても少ないです。

おそらく、サクサク砕ける形でドラフード化しようと思うと、これが限界なのかな、と思います。

 

人の食事も、糖質制限から、玄米採食、食養生、マクロビオティックなど、様々な考え方があるように、

犬猫の食事についての考え方は本当に様々ですので、私が考えていることが正解かどうかはわかりませんが、

犬の祖先が肉食の生き物であるならば、ドライフードだけの食事では、絶対的にタンパク質が不足しているように思えてならないです。

 

猫を飼っている方も、普段のフードのパッケージを見ていただくと、さほど組成は変わりませんので、結構衝撃的だと思います。

猫は間違いなく本来は”肉食”の生き物・・・ですよね。

 

ちなみに、上記の理屈は人も同様です。人の体の構成成分はタンパク質です。

朝食:パンとコーヒーと果物

昼食:パスタとサラダ

おやつ:シュークリーム

夕食:カレーライスとサラダ

さて、タンパク質の割合はいかほどでしょう??

これで本当の意味での”健康な体”が作れるのかな、って思います。

 

ペットだけでなく、ご自身の食について再考するきっかけになっていただければ幸いです。

食と栄養の話は書きだすと止まらなくなるので、今後も少しずつ自分の考えをお伝えしていければと思います。