ペットが食べるフードについて ①
『先生がおすすめのドッグフードはありますか?』
時々聞かれる質問です。
私は極力メーカー名は答えないようにしています。
(るいちゃんが何を食べているかと聞かれたらお答えはしますが・・)
インターネットの口コミ、
友人同士の情報交換、
ペットショップさんやトリマーさんのお勧めなどと比べて、
”獣医師”の肩書から発する発言は、飼い主にとって受け取り方がかなり違うからです。
獣医さんが勧めてくれたんだから、間違いないだろう・・・と。
今はペットも健康志向に伴って、食材にこだわったプレミアムフードがたくさん出ており、何が一番いいのかわからないのと、
あと、そもそもパーフェクトなドッグフードは存在しないと思っているので。
おそらく間違いないのは、人が普段食べている食材で作ってあげることだと思っています。
前置きしておきますが、我が家のるいちゃんはドッグフードです。
私は朝からバタバタ仕事の準備をし、帰宅の時間もままならず、人のご飯も作るのが面倒になる日が多いですから、ワンコに手作りは私の生活パターンでは無理。
ただ、それなりに持論はあるので、自分が妥協できる範囲でいろいろ工夫はしています。
私が小さいころ、外で飼っていた犬はまさに”人の残り物ご飯”でした。ご飯に魚のあらに、野菜の残りを刻んで。。。
小学校高学年でポメラニアンを飼ったとき、ブリーダーさんに勧められたと母が作ったご飯がドライフードをふやかして、そこにササミをほぐしたものを混ぜたフード。
私は最初見たとき、『この子、マーボー豆腐食べるの??』って思いました(笑)。
そもそも、ドッグフードとは何なのか?
その歴史をひも解いてみます。
ドッグフードは1920年代のアメリカで、軍用馬の役目を終えた廃用馬の肉の処分に困って、犬に与えたのが始まりだと言われているそうです。
そしてそこから、1930年代にユニ・チャームやネスレなど、アメリカの大手食品メーカーが、人用の加工食品の廃棄部分の食材を利用するために、ペットフード産業に進出。
1950年代に、ピュリナ社が、現在のような、軽くて保存のきくドライフードを開発、『経済的なフード』として量産を開始したのだそうです。
つまり、ドッグフードは『手軽に使えて、保存もきいて、なおかつお値打ちなもの』
という歴史があり、おそらくその普及によって犬や猫がとても飼育しやすくなり、ペットを飼うお宅が増え、1匹だけではなく多頭飼いのお宅もたくさん増えてきているのだと思います。
なので一般家庭でも、上記のような認識でいる方が多いと思います。
また、獣医業界と大手ドッグフード会社は切っても切れない関係となり、療法食というものが、獣医師の治療の一環として、標準的に取り入れられるようになり、獣医師もドッグフード以外は与える必要がなく、犬は犬専用のものを食べるべきだと教育を受けてきているので、飼い主さんにもそのように勧めているのだと思います。
私も4年前までは、普通にそのように指導していましたから。
例えば、尿石症になって一般食から治療食に変更してもらうとします。
20年ほど前は3kg3000円くらいでしたが、今は3kg5000円くらいします。
食事を変更しないと尿石症はなかなか解決しませんし、食事を変更してもらえれば、ほぼ解決できるトラブルのため、継続的に続けてもらうことになります。
ホームセンターで普通に陳列されているフードと比べると、場合によってはかなり割高。
特に猫の尿石症は多く、しかも多頭飼いの場合、2匹以上が一緒の器から食べているケースも多く、一斉にフードの変更を余儀なくされることがあります。
飼い主さんには、『ペットフードは米より高いっ』と嘆かれたこともあります。
最近は健康志向の飼い主さんも増え、フードメーカーでも、できるだけこだわりの食材を使って作るメーカーさんも出てきており、それこそ1kg3000円以上するフードもあります。
手作り食に興味がある飼い主さんに、私の知識の中でお伝えできる手作り食の説明をすると、特に大型犬になると『食材費がかかる過ぎて我が家では厳しい』と言われることもあります。
では、1kg1000円のフードと、1kg3000円のフードと、手作り食にかかる食材費と、何がどう違って、どのように考えるといいのか、ということを次回書こうと思います。
食と栄養ネタは書くと長くなるので、しばらく続きます。