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ペットが食べるフードについて ③

フードのパッケージに書かれている『総合栄養食』とはなんなのか。

これだけ食べていれば、ほかのものは食べなくても、ペットの健康は維持できる万能食・・・本当にそうなのでしょうか?

 

ドッグフードの由来は先日書きましたが、アメリカでは大手食品メーカーが人の加工食品の残渣を利用してドッグフードを作る開発競争が起こりました。

そして、その利便性と、経済性の一致により、当時の獣医師の偉い人やペットフード協会が ”現在の肉中心のフードは不完全であり、家庭で出る残飯は有害で動物用に加工したフードが望ましい” という見解を出し、ペットフードだけで必要な栄養素を満たす、という方向性のもと、総合栄養食、の定義がなされたそうです。

ちょっと”偏見を持った見方”かもしれませんが、ペットフード業界も”産業”ですから、大きな流れは合っているのではないかと思っています。

 

アメリカにはAAFCO(米国飼料検査官協会)という組織があり、AAFCOが必要な栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル)の最小値を最大値を示したものを総合栄養食の基準としました。

日本では、ペットフード公正取引協議会という組織が、AAFCOの基準を採用し、日本でも総合栄養食としているようです。

 

では、総合栄養食の栄養バランスはどのように決められているのか?

その前に、人の正しい栄養バランスの基準って、どのようにして決められているか考えたことがありますか?
          

日本人の栄養摂取基準というものは、

6大栄養素(食物繊維を除くと5大栄養素)である、タンパク質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維(最近は、野菜などから摂取できる“フィトケミカル”“食物酵素”が第7、8の栄養素、という概念もあります)をどれだけとるとよいかという基準を定めているものです。

例えば、30~49歳 男性(日本人の食事摂取基準 2015年版より)
1日に必要とするエネルギー(カロリー) 2650kcal
3大栄養素の必要量

炭水化物:50~65%(エネルギー比率)ご飯5.5杯(1杯235kcal)
タンパク質:60g(実質はお肉で300gくらい) 
脂質:20~30%(エネルギー比率)60~80g(大さじ5~7杯)

あと、ビタミン、ミネラルが細かく記述されています。

じゃあ、その必要量はどのように決められているのか???

実はここに細かいエビデンス(根拠)はないんです。。。実験や研究の結果をもとにしているわけではない様です。

というか、少なくとも私が調べた中では明確な答えは見つけられませんでした。

タンパク質〇〇%、脂質〇〇%・・・・をさまざまな比率でサンプルを作り、1年間食べ続けた時に、5年間食べ続けた時に、20年、30年、食べ続けた時に体がどのように変化するのか、、、なんて人では実験のしようがないですもんね。

ビタミンや、ミネラルに関しては、欠乏してしまうと体調不良を起こしますから、(例えばビタミンC欠乏症による壊血病とか)、『必須栄養素が欠乏しない量』として規定はされているようです。

 

そして、この炭水化物やタンパク質の必要量は、明治時代以降の先人が食べていた主食、副菜 などのバランス(日ごろ私達が食べている食事のバランスのこと)を標準的に考えている・・・だけ、、、らしい。

つまり大雑把に言うと、昔の日本人は、ご飯を主食として、おかずにお魚や野菜を食べてきたことで問題なく生活してきたんだから、現代人もそれが基準でいいんじゃないのかな、ってことです。

 

で、ペットの総合栄養食って、どのようにして考えられたという話に戻ります。

犬に関しては3万年ほど前にハイイロオオカミとの共通の祖先から分化し、1万5千年ほど前から、農耕生活を始めた人類と共に生きてくよう家畜化されたという歴史があります。
犬は、自分で獲物を捕まえたり、人の残り物をもらったりしていくうちに、肉食から雑食に対応できるように、胃腸の能力が変化していったようです。

・・・なので、人の残り物を食べていて問題なかったんだから、犬や猫の栄養摂取基準は、人と同じようなものを食べていけば大丈夫なんじゃないのかな、という背景があります(たぶん)。。

科学的な根拠や実験データに基づくものではないらしいんですよね。

医療では、過剰なまでに”エビデンスが”、”エビデンスが”と言われ、エビデンスの整わない代替医療やサプリメントは、効果のあるものも沢山あるのに、まだまだ正しく認知してもらえていない状況なのに、獣医業界やペット業界では『総合栄養食』を食べていれば大丈夫、なのです(ちょっと愚痴?)。

 

AAFCOの基準によると、成犬のフードの栄養バランスは、タンパク質が19%以上、脂質が12%以上。

なのでAAFCOの栄養摂取基準って、人の栄養摂取基準とバランスが似ている気がします。

犬は肉食寄りの雑食・・・という説明が一般的ですが、タンパク質19%の生活が果たして肉食寄りの食生活??と私には疑問符が付きます。

栄養学が学問として確立し、国家資格で栄養士が存在する人の領域でも、栄養に関してのパーフェクトバランスが分かっていないのに、犬や猫のパーフェクトバランスが分かるはずがないと思うんですよね

そうすると、うちの子にとって、何がベストなのかは、

獣医さんに勧められた、ペットショップの店員さんに勧められた、ネットの口コミが良さそう、、、と誰かに決めてもらうのではなく、自分で責任を持って決めるしかないのだと思います。

そして自分で決めるためには考えるための情報が必要で、今、手元にあるフードが一体どんなものなのか、まずは知る必要があります。

 

ということで、次は、ペットフードのラベルの読み方を書こうと思います。