ブログ

ペットが食べるフードについて ⑥

ほんとに更新が遅れて申し訳ありません。

たんぱく質のお話、続きです。

 

たんぱく質の摂取で大切なのは加工方法です。

たんぱく質は熱が加わることによって変性します。

卵を茹でると固くなる、お肉を茹でると白くなる・・ということです。

実は、タンパク質は、熱を加えて変性していくと胃腸での吸収率が落ちます。

熱を加える温度が高くなれば高くなるほど、変性の度合いが大きくなります。

 

つまり、生のままのお肉が一番変性が少なく、

生 < 蒸す(100℃以下)< 茹でる(100℃)< 焼く < 揚げる

こんな感じで変性度合いが大きくなります。

蒸した鶏肉と、カリカリに揚げすぎたて焦げちゃった唐揚げでは、同じように食べても体内での利用効率はずいぶん変わるようです。

 

なので、ペットのご飯の極論は『生食』ということになるのだと思います。

フリーズドライで熱を加えないフードもあり、これも熱変性は起こりませんので、タンパク質の『質』は良いものだと思います、、がかなり高価です。

(生食はいろいろな考え方があるので、今回は自分の意見は割愛します)

 

これを市販で買えるドッグフードで考えると、一般的にはドライフードと缶詰フード。

ドライフードに水を加えれば缶詰になる?

缶詰を乾燥させればドライフードになる?

いえいえ、全然違うんです。

 

最近のプレミアムフードはかなり工夫して作られているのですが、

一般的なドライフードは、その加工の工程で、高熱・高圧がかかります。

そうすることによって、乾燥していても硬すぎずにサクッと噛める、、そんなフードが出来上がります。

缶詰フードはイメージ的には人が食べるシーチキンのようなもので、最終的に密封保存されるわけですから、調理をすることと、殺菌の目的のみで熱を加えればいいので、熱の加わり方がドライフードと比べると全然違うので、缶詰のほうがかなり栄養的な価値が高いと思われます。

 

それに加えて、ドライフードはどんなメーカーをみても、炭水化物が40~50%。全体の約半分。

たぶんなのですが、あのサクッとした感触を出そうと思うと、クッキーやスナック菓子のようにでんぷん質がないとつくれないのでは?と思います。

お肉だけを乾燥して保存したもの・・・いわゆるジャーキーって、固いですもんね。

それにひきかえ、缶詰でその50%を炭水化物にした場合、かなりネチョネチョしたものになると思うので、一般的に炭水化物の比率が下がり、タンパク質の比率が上がります。

炭水化物たっぷりのお値打ちな缶詰フードと、そこそこの価格帯の缶詰フードを開けてみると、かなり性状が違います。

なので、肉っぽい性状の缶詰めのフードは価格も高くなりますが、栄養的な価値は高くなると思います。

 

なので、私は小型犬などで経済的に許されるのであれば、缶詰フードのほうがいいですよ、と話をします。

高齢犬は食べたものの消化吸収能力が落ちてきますから、缶詰を足し算したほうがいいですよ、ともお話をします。

もしくは、人が食べているお肉をボイルしてトッピングしましょう、と。

 

ただ、以前あったのですが、高齢犬で缶詰をあげたらお腹をこわした、とのこと。

みると、かなりお値打缶詰だったので、申し訳ないが、ちょっと缶詰めのランクをあげてくださいとお願いしたところ、それだけで便の状態も整い、体重まで増えて、毛艶もよくなった子がいます。

そのくらい、食べるものって、生き物の健康を左右するものだと思います。

 

あと、先日書いたレンダリングの素材。

『〇〇ミール』『〇〇パウダー』と書かれているものは、私達がイメージする鶏肉や豚肉とは違い、人の食用部分(可食部位)の残りの、本来廃棄すべきクズ肉を工業製品として加工して、フードの材料になったものです。

それもタンパク質だと考えるのであれば、それはそれでいいのですが、レンダリングされる過程で、かなりの熱が加わって加工されて(ドロドロになるのか、水分を抜いてパウダーになるのか私にはわからないのですが)フードの材料の一部となり、それがさらに、ドライフードの粒となるために、高熱と高圧がかかるわけですから、いったいどれだけが犬や猫の体内で栄養として使われるのでしょう?と思います。

 

チキンミールならまだしも、フェザーミール・・・フェザーって”羽根”???みたいな。

ネットで検索すると、フェザーミールは消化の悪いものように言われるが、各種アミノ酸が含まれていて、栄養素が豊富である、、と書かれているものを見つけましたが、同じくネットで検索すると、野菜を作る農業用の肥料であり、その製造工程は、『3気圧、180℃、3時間 加圧蒸製して乾燥させたもの』とありました。

これだけ熱や圧がかかったタンパク質が、果たしてどれだけが体に吸収される形で残っているのでしょう。

しかも、本来、野菜の肥料として加工されているものを、それを動物性たんぱく質と称して、犬や猫の食べ物として与えていいものか?

フードメーカーさんには申し訳ないけど、私には疑問です。

 

あと、一番良いと思われるフードを1つに絞ろうと思う飼い主さんも多いのですが、私はさまざまな種類のタンパク質を取りましょう、と話をします。

 

板東英二さんは1日に大量のゆで卵を食べるのは有名な話。

以前、テレビで紹介されていたのですが、芥川賞作家の羽田圭介さんは、外食以外の家で食事をするときは、胸肉をボイルして胸肉ソーセージを大量に作って、毎日タンパク源はそれしか食べないそうです。

会場の反応は『え~~~っ』とブーイング。

人において、1種類のタンパク源のみを極端に多くとることを不自然だと考えるのに、どうしてペットの食事になると、1種類にこだわろうとするのでしょう?

 

鶏肉、豚肉、魚、、、それぞれ動物性タンパク質ですが、それぞれにおいて、アミノ酸の比率は違う。ビタミン、ミネラルなどの含有量も違う。

自分も、自分の家族も、自分のワンコも、お友達のニャンコも、体が必要とする栄養素の分量は絶対に同じではありません。

生活習慣、代謝、胃腸の具合、その人の体質など、さまざまな要因で、理想とされる形はひとつには決められません。

どの比率でどれだけのアミノ酸を摂取するのがその人、そのワンコにとって正解かわからないので(調べようがないので)、さまざまなものを摂取することで、結果的にバランスが取れる、ということになるのだと思います。

人でいうバランスの良い食事・・・というのは、バランスの良い理想的な食事内容を1つに決めて、それを365日ずっと食べましょう、ということではなく、毎日いろんなものを摂取しましょうね、ということですよね。

なので、缶詰なら1缶の消費ペースが速いので、さまざまな種類のものを与えやすいので、いろんな缶詰を使いましょう、と話をします。

ドライフードでいくのであれば、可能なら小さなパッケージで使い切ったあと、信頼できるいくつかのメーカーをローテーションして利用するか、お気に入りのメーカーがあるなら、その中でいろんな素材のフードの種類にローテーションしていきましょう、とお伝えします。

 

あくまでこれは、私の持論です。

フード以外のものは与えてはいけない、人の食べているものあげてはいけない・・・犬には犬用の食べ物を、といった現代獣医療で考えると、決して模範解答ではないと思うのですが、絶対に間違ったことは言っていないと思っています。

 

まだ書きたいことがあるのですが、今日はこのへんで。

(なんとか早めに更新しなくちゃね、です・・・)