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お店を作るんです その1

私は往診診療の中で、通常の一次診療に加えて、オゾン療法や様々なサプリメントなどを使う、人でいう自由診療の領域にあたる代替医療を行っています。

私が往診獣医になる前は、いわゆる普通の一次診療を行う動物病院で勤務していました。
もともと鍼灸に興味があったので、院長にお願いして勉強させてもらい、細々と椎間板ヘルニアの患者さんなどには鍼灸治療をしていましたが、世の中の医療では『西洋医学』に相対するものは『東洋医学』くらいしかないと思っていました。
そんな感じですので、最初の往診獣医になった経緯は、なんらかの理由で動物病院に連れて来れないペット、普通に治療すれば普通に治るかもしれないのにそれが難しいペット達のお役に立てるように、、、

そして、いわゆるターミナルケアの部分・・動物病院への通院は負担が大きいので連れて行きたくても連れて行けないペット達のお役に立てるように、、、

で、時々鍼灸でもできればいいかな、、そんな思いでした。

ですが、実際に往診獣医として仕事を始めてみると、いきなり壁にぶつかりました。

血液検査器・超音波エコー・顕微鏡、これらの機器を積み込んでいますので、通常の動物病院で行っている一次診療の部分はある程度カバーできます。
実際にそれでお役に立てた場面も多かったと思いますし、今もこれらがないと私の往診診療は成立しません。

しかし、往診でお声がかかる患者さんは、通常診療の患者さんとは違うことが多いんです。

ガンや腎不全など、さまざまな慢性疾患の末期の患者さん。
かかりつけ医の先生からあとは点滴をするくらいしかないといわれたので、それであれば本人の負担の少ない在宅医療のほうがいいと思って・・・でも、おそらく点滴しても再び元気がでてくることはないでしょう。
もうできる治療はないから、無理してストレスをかけて通院を続けるよりも自宅で過ごしてもらったほうが・・・そんな状態の患者さんで往診にいっても、私だってできることはないんです。

飼い主さん自身もお別れの時期が近付いているのは充分に理解はしているけど、なんとか穏やかに、気持ちよく、楽に過ごさせてあげたい。でもそれに応える手段がわからなかったんです。

せっかく呼んでいただいたのに、これと言って飼い主さんが満足いくケアができるわけでもなく、悶々とした状態が続くことが多くなりました。
開業当時の私にとっては、サプリメントなんてたいして効かない・気休めだと思っていたし、フードは総合栄養食と書かれたものなら何でも一緒だと思っていたし、教科書に書かれていない代替医療なんて怪しいだけし、ホリスティックなんて言葉は胡散臭いし・・(言い過ぎ?)。基本的には(獣)医療従事者というものは、獣医の専門書やエビデンスにのっとった医療をすべきである、と。
6年前の自分が今の自分をみたらびっくりするでしょうね(笑)。

 

私の医療人としての考え方を大きく変えた出来事がいくつかあります。

その1つが友人のガン。
これは以前のブログでも触れましたが。

珍しい種類の進行性のガンで、治療法が確立されていないため、手術後経過観察。
3か月後には再発し、抗がん剤を開始。
抗がん剤の反応は芳しくなく病状は進行していく・・・。

繰り返される抗がん剤の治療や手術に対して疑問はあったものの、私は人間の医者ではないし、身内でもないから治療方針に対してあれこれ言えない。
でも何か役に立てる情報はないのかと出会ったのが人の統合医療というジャンルでした。

経費の新聞図書費の多さに私のお願いしている税理士さんがびっくりするくらい(?)様々な本を読みあさりました。

その中でもオゾン療法になんとなく惹かれ、思い切って器械を購入することとなりました。
胡散臭いと思う気持ちはぬぐえないけれど現状の打開という思いと、自分が獣医診療の現場で使ってみて本当に効果があるなら彼女にも統合医療という分野を自信を持って勧められる、そんな思いもありました。

 

そして、このオゾン療法が私の考え方を大きく変えた出来事の2つめ。

オゾン療法を行うと、患者さんが元気なるんです。

老齢で足腰が弱り、踏ん張りの効かなくなったワンコが翌日にはしっかり歩くようになるんです。
老衰で点滴してももう厳しいかな、、と思われたワンコやニャンコにオゾン療法を行うと、早ければその日のうちに起き上がるようになるんです。
肺に腫瘍があって呼吸が苦しくて伏せているワンコにオゾン療法を施すと15分後にはお座りして尻尾振っているんです。

びっくりです。

当然、万能な治療法ではないのですべての患者さんに効くわけではないですよ。

起き上がってまたご飯を食べれるようにならなくても、辛そうにして眠れていなかったのがぐっすり寝てくれた、冷えてた手先がポカポカになって穏やかな表情になった。。。

何より、飼い主さんが本当に喜んでくれるんです。
すごく嬉しそうに報告してくれるんです。

病気が治っているわけではない、元気になっているわけではない、食欲が出てきているわけではない、ただ『すごく気持ちよさそうに寝てくれた』、それだけでも飼い主さんをどんなに安心させていることなのか。

大きな手術が無事に終わったときや、大変だった病気が良くなった時とは違う飼い主さんの表情。
安堵の表情というんですかね。ペットが楽になることで飼い主さんも一緒に癒される。
20年くらい獣医師をしてきて、こんな感覚を感じたことはありませんでした。

 

そしてオゾン療法を取り入れた時期に獣医の統合医療セミナーがあることを知り、それに参加したことが、私を大きく変えた3つめ。

人の統合医療についてはいろいろ調べたので、医師が自由診療の領域でさまざまな治療を難病の患者さんに施しているのは知っていましたが、こんなに大勢の獣医師がペットに対し統合医療を行って成果をあげていることが衝撃でした。

私は往診獣医ですから、大きな設備を持てませんし、一人で動いているのであまり大掛かりなことはできません。
そんな中でも車載できて手軽に使え、1つの機器でさまざまな症状に対してフォローできるものを必要なタイミングで使ってあげると、点滴や薬物を使わなくても(もちろん併用するケースもあります)とても楽になり、元気になるんですよね。

オゾン療法は医療行為なので獣医師じゃないとできませんが、往診車である“るいちゃん号”には医療行為にはあたらない、ペットにも使えるヘルスケアの機器をいろいろ積んでいます。

私は往診獣医のため、出会う患者さんの数が絶対的に少ないので、こういったとても有益だと思われる情報の提供の機会がとても少ないんですよね。それがなんだか残念で。
こういったヘルスケアの機器を飼い主さんに使ってもらえる空間があれば、こういうものを探している飼い主さんのお力になれるのでは、という思いがあるんです。

ということで、次回に続く・・・。