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ペットが食べるフードについて⑦

8月15日(水)、16日(木)は終日休診となります。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いいたします。

 

先日書いたブログの続き、、というか補足です。

 

何種類かのフードをローテーションしていくとき、ドライフードはできるだけ小さなパッケージを選んで使い切ってから次のフードに・・・とお伝えしたのですが、ドライフードを買うときの大きさの選び方、保存の方法の話です。

 

ドライフードは密閉されている間は(おそらく)密閉されているので、空気と触れることがないのですが、開封した瞬間から空気と触れます。

空気と触れると、『酸化』します。

『酸化』というのは、金属でいうと錆びること。

食べ物でいうと、傷むこと、です。

ドライフードには、『酸化防止剤』というものが添加されています。

酸化防止剤、というものは、フードにコーティングすることで、そのフードの代わりに『酸化』されて、フードが酸化されるのを防ぐ働きがあります。

どれほどの量が添加されているかわかりませんが、『酸化防止剤』が防波堤となって、フードを守るためにひとたび『酸化』されてしまうと、その役目を終えます。

繰り返し持続的に酸化防止してくれるわけではありません。

それが天然のものであっても、合成されたものであっても、永久に酸化を防いでくれるものではありません。

 

イメージとして分かりやすいのが、私たちが食べる袋菓子、スナック菓子です。

ポテトチップス、開封した時はサクサクして美味しいのですが、開封後、何日なら食べれますか?

一週間も置いておくと、たとえ輪ゴムで封をしても、サクッと感もなくなりますが、なんとなく油が臭うというか、まずく感じる感覚はないでしょうか。

あれが『酸化』です。

酸化した油は、体にとってはとても悪いものになります(←酸化した油の害はいつか書きたいです。)。

 

以前、とある大学の先生の肝臓のセミナーで、

生後6か月のマルチーズが、避妊手術をしようと術前検査をしたところ、肝臓の酵素の値がやや高い。

詳しい検査をしても、先天的異常を含めて肝臓に明らかな問題がない。

薬物治療をしてもあまり変化もなく、飼い主さんから生活環境を精査すると、生後2~3か月時点でペットショップさんから購入した際、経済的だからと、8kg(だったと思います)の大袋のフードを購入。

マルチーズは体が小さいですから、いまだに当初のフードを与え続けているとのこと。

フードを新しいものに取り換えただけで肝酵素は正常に戻ったとのこと。

 

このような状態を『非特異的反応性肝炎』と言います。

肝臓がダイレクトに侵されているわけではなく、そのほかの要因により、肝酵素が上昇してしまうことです。

歯肉炎、腸炎、膵炎などでもこのような現象が起こります。

 

つまり、酸化したフードを食べることで、中毒になるわけでもなく、下痢になるわけでもなく、気づかないうちに体に負担をかけているということです。

『酸化』というのは『腐った(細菌が繁殖した)』こととは違いますから、意外にお腹はこわさないんですよね。

 

ひとたびフードを開封したらどのくらいで食べてればいいのか?

フードメーカーさんにいわせると、以前聞いたときは3週間~4週間くらいで・・と返答があったような覚えがありますが、上記のポテトチップスを思い出してもらうと、一か月前に開封したポテチを安心して美味しく食べられるか、ということになるわけです。

 

かといって、小さいパッケージは割高。お財布事情もあります。

なので、開封したフードは、毎回できるだけ空気を抜いてきっちり封をして保存することが大切です。

私は往診でお宅に伺いますから、大袋の口が封をされることもなく、パカっと大きな口を開けたままで保存しているお宅を時々見かけます。

お腹を壊すでもなく、体調不良を起こしているわけでもないのですが、『口はきっちり閉じてください~』とお願いします。

開封後、大きなタッパーに移し替えて存する飼い主さんもいます。一見、密閉しているように見えますが、タッパーのフードが入っていない空間は『空気』です。

真空にしない限り常に空気に触れていますし、開け閉めするたびに空気の入れ替えがされますから、もとのパッケージを密封するより酸化が早いのでは?と思います。

 

そして、米の保管と同じように、台所の下の棚の中の冷暗所で保管している方も多いかと思いますが、米は乾物なので問題ないのですが、ドライフードは乾いたように見えて、そこそこ水分を含んでいます。

なので、湿気の多いところで保管すると『傷み』ます。

保管場所も結構大切です。

 

多頭飼いしている飼い主さんのお宅のワンコが2匹同時に下痢になりました。

いつもと同じフードを与えており、ほかに何か与えた記憶もなく、思い当たることがありません。

元気はあるので、下痢止めで対処しましたが、あまり改善は見られず。

1っか月ほど前に開封したフードが残り4分の1程度。フードの保管がタッパーに詰め替えて台所の棚の一番下に置いてあったので、そのフードを止めて、同じ種類でいいので、新しいものに変えていただいただけで、解決しました。

 

『おやつ』も同様だと思います(我が家はたまにしかおやつを与えないので、かなり長い間食べさせちゃいますから、偉そうなこと言えませんけど)。

乾燥したジャーキーならいいのでは?と思われる人もいるかもしれませんが、たとえば、私達、人のお酒のおつまみの『さきイカ』。

たとえ輪ゴムでキッチリ封をしていたとしても、3か月も半年も前のさきイカを、食べようとは思わないのでは??

 

『ペットのために作られたもの』になると、とたんに『食品』としての感覚が薄れてしまうような気がしてしまうのは、なぜなんでしょうね?って思います。

 

ペットが食べるフードについて ⑥

ほんとに更新が遅れて申し訳ありません。

たんぱく質のお話、続きです。

 

たんぱく質の摂取で大切なのは加工方法です。

たんぱく質は熱が加わることによって変性します。

卵を茹でると固くなる、お肉を茹でると白くなる・・ということです。

実は、タンパク質は、熱を加えて変性していくと胃腸での吸収率が落ちます。

熱を加える温度が高くなれば高くなるほど、変性の度合いが大きくなります。

 

つまり、生のままのお肉が一番変性が少なく、

生 < 蒸す(100℃以下)< 茹でる(100℃)< 焼く < 揚げる

こんな感じで変性度合いが大きくなります。

蒸した鶏肉と、カリカリに揚げすぎたて焦げちゃった唐揚げでは、同じように食べても体内での利用効率はずいぶん変わるようです。

 

なので、ペットのご飯の極論は『生食』ということになるのだと思います。

フリーズドライで熱を加えないフードもあり、これも熱変性は起こりませんので、タンパク質の『質』は良いものだと思います、、がかなり高価です。

(生食はいろいろな考え方があるので、今回は自分の意見は割愛します)

 

これを市販で買えるドッグフードで考えると、一般的にはドライフードと缶詰フード。

ドライフードに水を加えれば缶詰になる?

缶詰を乾燥させればドライフードになる?

いえいえ、全然違うんです。

 

最近のプレミアムフードはかなり工夫して作られているのですが、

一般的なドライフードは、その加工の工程で、高熱・高圧がかかります。

そうすることによって、乾燥していても硬すぎずにサクッと噛める、、そんなフードが出来上がります。

缶詰フードはイメージ的には人が食べるシーチキンのようなもので、最終的に密封保存されるわけですから、調理をすることと、殺菌の目的のみで熱を加えればいいので、熱の加わり方がドライフードと比べると全然違うので、缶詰のほうがかなり栄養的な価値が高いと思われます。

 

それに加えて、ドライフードはどんなメーカーをみても、炭水化物が40~50%。全体の約半分。

たぶんなのですが、あのサクッとした感触を出そうと思うと、クッキーやスナック菓子のようにでんぷん質がないとつくれないのでは?と思います。

お肉だけを乾燥して保存したもの・・・いわゆるジャーキーって、固いですもんね。

それにひきかえ、缶詰でその50%を炭水化物にした場合、かなりネチョネチョしたものになると思うので、一般的に炭水化物の比率が下がり、タンパク質の比率が上がります。

炭水化物たっぷりのお値打ちな缶詰フードと、そこそこの価格帯の缶詰フードを開けてみると、かなり性状が違います。

なので、肉っぽい性状の缶詰めのフードは価格も高くなりますが、栄養的な価値は高くなると思います。

 

なので、私は小型犬などで経済的に許されるのであれば、缶詰フードのほうがいいですよ、と話をします。

高齢犬は食べたものの消化吸収能力が落ちてきますから、缶詰を足し算したほうがいいですよ、ともお話をします。

もしくは、人が食べているお肉をボイルしてトッピングしましょう、と。

 

ただ、以前あったのですが、高齢犬で缶詰をあげたらお腹をこわした、とのこと。

みると、かなりお値打缶詰だったので、申し訳ないが、ちょっと缶詰めのランクをあげてくださいとお願いしたところ、それだけで便の状態も整い、体重まで増えて、毛艶もよくなった子がいます。

そのくらい、食べるものって、生き物の健康を左右するものだと思います。

 

あと、先日書いたレンダリングの素材。

『〇〇ミール』『〇〇パウダー』と書かれているものは、私達がイメージする鶏肉や豚肉とは違い、人の食用部分(可食部位)の残りの、本来廃棄すべきクズ肉を工業製品として加工して、フードの材料になったものです。

それもタンパク質だと考えるのであれば、それはそれでいいのですが、レンダリングされる過程で、かなりの熱が加わって加工されて(ドロドロになるのか、水分を抜いてパウダーになるのか私にはわからないのですが)フードの材料の一部となり、それがさらに、ドライフードの粒となるために、高熱と高圧がかかるわけですから、いったいどれだけが犬や猫の体内で栄養として使われるのでしょう?と思います。

 

チキンミールならまだしも、フェザーミール・・・フェザーって”羽根”???みたいな。

ネットで検索すると、フェザーミールは消化の悪いものように言われるが、各種アミノ酸が含まれていて、栄養素が豊富である、、と書かれているものを見つけましたが、同じくネットで検索すると、野菜を作る農業用の肥料であり、その製造工程は、『3気圧、180℃、3時間 加圧蒸製して乾燥させたもの』とありました。

これだけ熱や圧がかかったタンパク質が、果たしてどれだけが体に吸収される形で残っているのでしょう。

しかも、本来、野菜の肥料として加工されているものを、それを動物性たんぱく質と称して、犬や猫の食べ物として与えていいものか?

フードメーカーさんには申し訳ないけど、私には疑問です。

 

あと、一番良いと思われるフードを1つに絞ろうと思う飼い主さんも多いのですが、私はさまざまな種類のタンパク質を取りましょう、と話をします。

 

板東英二さんは1日に大量のゆで卵を食べるのは有名な話。

以前、テレビで紹介されていたのですが、芥川賞作家の羽田圭介さんは、外食以外の家で食事をするときは、胸肉をボイルして胸肉ソーセージを大量に作って、毎日タンパク源はそれしか食べないそうです。

会場の反応は『え~~~っ』とブーイング。

人において、1種類のタンパク源のみを極端に多くとることを不自然だと考えるのに、どうしてペットの食事になると、1種類にこだわろうとするのでしょう?

 

鶏肉、豚肉、魚、、、それぞれ動物性タンパク質ですが、それぞれにおいて、アミノ酸の比率は違う。ビタミン、ミネラルなどの含有量も違う。

自分も、自分の家族も、自分のワンコも、お友達のニャンコも、体が必要とする栄養素の分量は絶対に同じではありません。

生活習慣、代謝、胃腸の具合、その人の体質など、さまざまな要因で、理想とされる形はひとつには決められません。

どの比率でどれだけのアミノ酸を摂取するのがその人、そのワンコにとって正解かわからないので(調べようがないので)、さまざまなものを摂取することで、結果的にバランスが取れる、ということになるのだと思います。

人でいうバランスの良い食事・・・というのは、バランスの良い理想的な食事内容を1つに決めて、それを365日ずっと食べましょう、ということではなく、毎日いろんなものを摂取しましょうね、ということですよね。

なので、缶詰なら1缶の消費ペースが速いので、さまざまな種類のものを与えやすいので、いろんな缶詰を使いましょう、と話をします。

ドライフードでいくのであれば、可能なら小さなパッケージで使い切ったあと、信頼できるいくつかのメーカーをローテーションして利用するか、お気に入りのメーカーがあるなら、その中でいろんな素材のフードの種類にローテーションしていきましょう、とお伝えします。

 

あくまでこれは、私の持論です。

フード以外のものは与えてはいけない、人の食べているものあげてはいけない・・・犬には犬用の食べ物を、といった現代獣医療で考えると、決して模範解答ではないと思うのですが、絶対に間違ったことは言っていないと思っています。

 

まだ書きたいことがあるのですが、今日はこのへんで。

(なんとか早めに更新しなくちゃね、です・・・)

ペットが食べるフードについて ⑤

6月23日(土)、および7月3日(火)は都合により終日休診となります。

ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いいたします。

 

少し更新が遅れました。

『ブログの更新、楽しみにしてますよ♪』と言ってくだる飼い主さんもいらっしゃって、食については興味がある方が多いんだなあと改めて感じています。

 

たんぱく質の話です。

 

たんぱく質には

『動物性たんぱく質』と『植物性たんぱく質』があります。

動物性たんぱく質は、いわゆる『お肉』。

植物性たんぱく質は、代表的なものが、畑の肉と言われる『大豆』。

人間や犬や猫などの哺乳類は、当然ですが、動物なので動物性たんぱく質でできています。

 

たんぱく質は、20種類のアミノ酸が材料となって構成されており、そのアミノ酸には必須アミノ酸と言って、体内では合成できないので食べ物から直接摂取するしかないものがあります。

私も専門家ではないので、アミノ酸の小難しいカタカナは覚えられないのでざっくりとしたイメージで捉えています。

 

例えば、アミノ酸A、B,C,Dがあったとします。

A,B,Cは非必須アミノ酸とします。

AとBが結合するとCのアミノ酸ができるとすると、C=A+Bなので、アミノ酸Cは、Cとして食物から取り込まなくても、AとBがあれば合成できる・・・これが非必須アミノ酸のイメージです。

Dは必須アミノ酸とします。

これは、A+B+Cをしても、Dになることはできないので、直接食べ物から作らないと、体内で不足する、ということ。

アミノ酸が結合するとたんぱく質が作られます。

たんぱく質は、体のほぼすべて臓器の構成成分になり、その構成するアミノ酸の種類、バランスがすべて違っています。

例えば皮膚の細胞のアミノ酸がA+B+C+Dで構成されていた場合、Cの摂取が多少足りなくても、AとBがあればCは合成てもらえるので材料としてはまかなえるのですが、Dが足りなければ皮膚の材料そのものが足りないことになるので、肌がカサカサ、ボロボロになっていく、、、そんな感じでしょうか(本当は皮膚でいうとビタミンやミネラルも必須なのでタンパク質だけでは話が足りないのですが)。

 

・・・わかりやすく説明しようとして、かえってわかりにくくなったかも、です(スイマセン)。

 

で、そのタンパク質の構成成分のバランスをスコア化したもので”プロテインスコア”というものがあります。

上記のD・・・食物に含まれる必須アミノ酸の量を数値で表したもので、数値が高い食品ほど良質のたんぱく質を含むことになります。

同じ量のタンパク質を摂取しても、スコアが低いとアミノ酸がうまく利用できていないことになります。

 

◆プロテインスコア

鶏卵:100

イワシ:91

豚肉:90

鶏肉:87

牛肉:80

牛乳:74

大豆:56

豆腐:51

トウモロコシ:51

小麦:51

 

鶏卵は、その材料だけでヒヨコという筋肉・骨で骨格が作られ、内臓を持ち、羽をまとった生物として誕生できますのでパーフェクトなバランスと考え、そのスコアを100として、ほかのものを比較しているようです。

魚、お肉などの動物性たんぱく質はかなり数値が高いのに対し、畑のお肉と言われる大豆でも56、小麦やトウモロコシは51と、卵と比べると摂取したたんぱく質の利用率が半分くらい。。。ということになります。

 

なので、フードの組成でタンパク質30%のフードでも、主原料(一番最初に書かれている材料)が”穀物”の場合は、体の中での利用効率がかなり落ちることになりますので、たんぱく質が25%であっても主原料が鶏肉や豚肉などの動物性たんぱく質のほうが、体内での利用効率が上がるはずです。

 

なので、私は原材料が動物性たんぱく質をメインとして作られているフードをお勧めしています。

穀物メインのフードはおそらくそのタンパク質のかなりの割合が体に吸収されずに便に出てしまっている気がします。

穀物メインのフードは原材料が安くできますので、価格を抑えることができます。

なので全てとは言いませんが、安いフードは便の量がやたら多い”ドカ便”になることが多いので、フードの見直しをしてもらうと、同じ量与えているのに便があまり出なくなりましたが便秘なのでは?大丈夫でしょうか?、と聞かれることもしばしばです。

 

余談ですが、そうすると、日本食の文化は米を主食として肉をがつがつ食べる文化ではないのに、昔の人だって普通に体が維持できているのはなぜ?という思いが湧くかもしれませんが、例えば日本食に欠かせない、納豆・豆腐・味噌・醤油などの大豆製品。

大豆だけではプロテインスコアは56でしたが、玄米を一緒に取ると、大豆で不足する必須アミノ酸を玄米がカバーしてくれて足し算するとプロテインスコアが100に近くなるようであったことと、昔はイナゴのつくだ煮や蜂の子など、肉は摂取しなくても昆虫などの動物性たんぱく質を摂取することで不足分をカバーしてバランスを取っていたようです。

先人は、さまざまな穀物、野菜、季節のものを摂取することで肉食メインの文化ではなくてもその肉体を維持していたのですね。

ちなみに大豆はプロテインスコア56であっても、小豆やひよこ豆、レンズ豆などなど・・3種類程度の豆類を組み合わせて食べるとプロテインスコアはそれぞれの不足分を補い100に近くなるのだそうです。

 

じゃあ、動物性たんぱく質が主原料になっているフードはすべて良質か・・・というと、実はこれにもからくりがあります。

続きはまた近日中に書きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペットが食べるフードについて ④

 

フードを買うと、パッケージの裏か横に様々な表示があります。

『原材料名』

『保障分析値』

これらから、様々な情報を得ることができます。

以前のブログでもちらっと書きましたけどね。

 

往診の合間に、ホームセンターに立ち寄り、陳列されているフードからこっそり写真を撮ってきました(買わないのにゴメンナサイ)。

 

 

このフードの保障分析値は

たんぱく質 16.5%以上

脂質    12.0%以上

粗繊維   3.5%以下

灰分    6.5%以下

水分    10.0%以下

…リン以下はごく少量のためひとまず割愛。

これらと足し算すると、48.5%です。

では、残りの51.5%は???

答えは炭水化物です。

正確には、水分10%を引いた状態でトータル100に直して考えないといけないのですが、面倒なのでざっくりいきます。

粗繊維も炭水化物の仲間になりますが、私たちが吸収できない食物繊維と考えてください。

腸内環境を整えるためにとても重要な栄養素です。

ちなみに灰分とは、燃やした時にできるゴミと同じ、便となる残渣です。

 

炭水化物は表示義務がないので、大半のフードの表示はこのようになっています。

 

すいません、かなり見にくいですが、

保障分析値

たんぱく質 23.0%以上

脂質    10.0%以上

粗繊維    4.5%以下

粗灰分    8.5%以下

水分    10.0%以下

これらを足し算すると56%

炭水化物は44%となります。

 

つまり、ドライフードの約半分、50%くらいは炭水化物(でんぷん質)です。

 

 

ざくっと様々な商品の保証分析値です。

 

私は分子栄養学の勉強をしている観点から、人の食事において糖質制限を推奨している派です。

糖質制限、、、というより、現代人は炭水化物(糖質)のとりすぎでタンパク質などのほかの栄養素が足りなさすぎ。

麺やお米、パンや菓子でお腹がいっぱいになると満腹になり、タンパク質などの摂取量が絶対的に少ないと思っています。

糖質過剰がいかに怖いことなのかは、とてつもなく長い話になるので、またの機会に書けたらと思います。

 

人体も動物も体の構成成分である細胞はタンパク質と脂質でできています。(”脂肪”ではありませんよ)。

筋肉も骨も、血液も、ほかの体液も、皮膚も毛も、酵素も、ホルモンも、免疫力アップと言われる免疫細胞も、構成成分はメインがタンパク質。

そして体のタンパク質は摂取したタンパク質からしか作ることができません。

糖質はエネルギー源にしかならず、体内でタンパク質には変換してくれません。

牛などの完全な草食動物は、食べた草をタンパク質に変換しているのではなく、食べた草によって胃腸の中で共存している腸内細菌を育てます。

細菌の構成成分はタンパク質であり、胃腸内で育てた腸内細菌を栄養源として吸収して体を作っています。

犬は雑食に進化を遂げたといっても草食動物ではありませんから、摂取したタンパク質からしか体は作れません。

なのでフード選びの際には、基本的にはタンパク質の含有量が多いものを選んでね、という話をします。

 

そうすると、一番下の28%のタンパク質を含有しているフードが優良で、一番上の16.5%のフードが粗悪なのか、、という感じになります。

ただ、ここで、タンパク質の”質”が重要になります。

これがフード選びのひとつのキモになると思います。

 

そこで、今度は原材料名をみます。

原材料は基本的に重量が多いものから順に並んでいます。

 

これは最初にくるのが

トリ肉(チキン、ターキー)

そして、トウモロコシ、小麦、玄米、米、大麦、オート麦、、、

 

これは最初に来るのが

穀類(コーングルテンフィード、小麦粉、米ぬか、小麦ふすま、大麦糠、脱脂米糠)

そして

豆類(脱脂大豆、乾燥おから)

肉類(チキンミール、フェザーミール)

 

最初に来るのが

穀類(トウモロコシ、小麦粉、コーングルテンミール、フスマ、パン粉、コーングルテンフィード等)

そして、肉類(チキンミール、チキンエキス、ビーフパウダー、ササミパウダー等)

最初に来るのが

チキン

そして、家禽ミール(天然グルコサミン源)、

コーングルテンミール、米、シリアルブラン、小麦、オーツ麦

 

・・・というように、『穀類』である植物性食品がメインになるか、『肉類』である動物性食品がメインになるか、ここにはないですが、『豆類』である植物性食品がメインになるか、フードによって違ってきます。

 

え、たんぱく質=お肉じゃないの??

 

違うんです。

 

タンパク質は、動物性たんぱく質と、植物性たんぱく質があります。

植物性たんぱく質・・というと、『大豆』をイメージしますが、トウモロコシや、小麦などにもタンパク質が含まれています。

スーパーに行ったとき、

鶏肉が100g100円だったとして、1kg買うと1000円です。

小麦粉1kgが250円くらいだったとして、価格が1/4になります。

 

ちなみに、原材料は『重量の多い順』に並びます。

お肉は水分を多く含んでおり、穀類は基本的に乾いていますので、1番目に穀類、2番目に肉類が来ているフードのお肉の含有量はかなり少なくなると考えられます。

私たちが食べている肉は、100gに20gくらいのタンパク質が含まれます。

え、肉100gのほとんどがたんぱく質じゃないの?と思う方もいるかもしれませんが、肉はほとんどが水分なので、水分を抜いて考えるとそうなるのです。

なので、私たちが普段目にする『お肉』でタンパク質の量を確保しようと思うと、かなりの肉を使わないといけなくなりますので、コストがかかります。つまりフード代が高くなります。

価格を抑え、なおかつタンパク質量を確保するために、普通の『お肉』を使うのではなく、『〇〇ミール』を使い、『〇〇グルテン』を使って作ることになります。

『〇〇グルテン』の”グルテン”は、穀類に含まれるたんぱく質の成分。

パンを膨らませるのに薄力粉ではなく強力粉のほうがグルテン量が多いので生地がよく伸びて・・・の、あのグルテンです。

『小麦粉』そのものではなく、『グルテン』を使ったほうが、手っ取り早くタンパク量を増やすことができます。

 

『チキン』と『チキンミール』は違います。

『〇〇ミール』とは、レンダリングといって、人の食用に加工された肉のくずの部分や、人が食べない不可食部位を集めたものです。

なので、価格が安く抑えられます。そしてタンパク量を確保することができます。

レンダリングについては、ネットで検索すると詳しく書かれているサイトが沢山ありますので、気になる方は調べてみてください。

 

ペットフードが開発された経緯は先回書きましたが、人の食品業界が加工食品として使えなかった、本来であれば廃棄部分を利用してペットフードが作られている所以がこのあたりにみられるわけです。

 

加工されていてもタンパク質はタンパク質。

お肉から取っても、穀類やグルテンから取っても、タンパク質はタンパク質。

 

それを良しとするか悪いとするかは、購入する飼い主さんの判断だと思いますが、フードって、こういう風に作られていることを知らない方も多いかと思いますので、メーカーや、パッケージに大きく書かれている文言に惑わされることなくフードを選ぶ判断材料として考えていただければな、と思います。

 

実は獣医師である私は、数年前まで、こういったラベルの読み方を知らなかったのです。

私が不勉強であると言われればそれまでですが、実はこういったことを知らない、というか気にしない獣医師はとても多いはず、です。

自分も獣医の専門誌は定期購読していますし、病気についての専門書だってそれなりに読んできていたつもりです。

でも、病気の検査・治療法や新薬の情報は、いろんな獣医の雑誌で最新情報が特集されたりしますが、フードや栄養について特集を組まれることは、ほどんとないからです。

 

さまざまな素材が『加工されている』ということや、『穀類』『豆類』や、『タンパク質』について、まだまだ書きたいことがあるので次回に続きます。

 

ペットが食べるフードについて ③

フードのパッケージに書かれている『総合栄養食』とはなんなのか。

これだけ食べていれば、ほかのものは食べなくても、ペットの健康は維持できる万能食・・・本当にそうなのでしょうか?

 

ドッグフードの由来は先日書きましたが、アメリカでは大手食品メーカーが人の加工食品の残渣を利用してドッグフードを作る開発競争が起こりました。

そして、その利便性と、経済性の一致により、当時の獣医師の偉い人やペットフード協会が ”現在の肉中心のフードは不完全であり、家庭で出る残飯は有害で動物用に加工したフードが望ましい” という見解を出し、ペットフードだけで必要な栄養素を満たす、という方向性のもと、総合栄養食、の定義がなされたそうです。

ちょっと”偏見を持った見方”かもしれませんが、ペットフード業界も”産業”ですから、大きな流れは合っているのではないかと思っています。

 

アメリカにはAAFCO(米国飼料検査官協会)という組織があり、AAFCOが必要な栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル)の最小値を最大値を示したものを総合栄養食の基準としました。

日本では、ペットフード公正取引協議会という組織が、AAFCOの基準を採用し、日本でも総合栄養食としているようです。

 

では、総合栄養食の栄養バランスはどのように決められているのか?

その前に、人の正しい栄養バランスの基準って、どのようにして決められているか考えたことがありますか?
          

日本人の栄養摂取基準というものは、

6大栄養素(食物繊維を除くと5大栄養素)である、タンパク質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維(最近は、野菜などから摂取できる“フィトケミカル”“食物酵素”が第7、8の栄養素、という概念もあります)をどれだけとるとよいかという基準を定めているものです。

例えば、30~49歳 男性(日本人の食事摂取基準 2015年版より)
1日に必要とするエネルギー(カロリー) 2650kcal
3大栄養素の必要量

炭水化物:50~65%(エネルギー比率)ご飯5.5杯(1杯235kcal)
タンパク質:60g(実質はお肉で300gくらい) 
脂質:20~30%(エネルギー比率)60~80g(大さじ5~7杯)

あと、ビタミン、ミネラルが細かく記述されています。

じゃあ、その必要量はどのように決められているのか???

実はここに細かいエビデンス(根拠)はないんです。。。実験や研究の結果をもとにしているわけではない様です。

というか、少なくとも私が調べた中では明確な答えは見つけられませんでした。

タンパク質〇〇%、脂質〇〇%・・・・をさまざまな比率でサンプルを作り、1年間食べ続けた時に、5年間食べ続けた時に、20年、30年、食べ続けた時に体がどのように変化するのか、、、なんて人では実験のしようがないですもんね。

ビタミンや、ミネラルに関しては、欠乏してしまうと体調不良を起こしますから、(例えばビタミンC欠乏症による壊血病とか)、『必須栄養素が欠乏しない量』として規定はされているようです。

 

そして、この炭水化物やタンパク質の必要量は、明治時代以降の先人が食べていた主食、副菜 などのバランス(日ごろ私達が食べている食事のバランスのこと)を標準的に考えている・・・だけ、、、らしい。

つまり大雑把に言うと、昔の日本人は、ご飯を主食として、おかずにお魚や野菜を食べてきたことで問題なく生活してきたんだから、現代人もそれが基準でいいんじゃないのかな、ってことです。

 

で、ペットの総合栄養食って、どのようにして考えられたという話に戻ります。

犬に関しては3万年ほど前にハイイロオオカミとの共通の祖先から分化し、1万5千年ほど前から、農耕生活を始めた人類と共に生きてくよう家畜化されたという歴史があります。
犬は、自分で獲物を捕まえたり、人の残り物をもらったりしていくうちに、肉食から雑食に対応できるように、胃腸の能力が変化していったようです。

・・・なので、人の残り物を食べていて問題なかったんだから、犬や猫の栄養摂取基準は、人と同じようなものを食べていけば大丈夫なんじゃないのかな、という背景があります(たぶん)。。

科学的な根拠や実験データに基づくものではないらしいんですよね。

医療では、過剰なまでに”エビデンスが”、”エビデンスが”と言われ、エビデンスの整わない代替医療やサプリメントは、効果のあるものも沢山あるのに、まだまだ正しく認知してもらえていない状況なのに、獣医業界やペット業界では『総合栄養食』を食べていれば大丈夫、なのです(ちょっと愚痴?)。

 

AAFCOの基準によると、成犬のフードの栄養バランスは、タンパク質が19%以上、脂質が12%以上。

なのでAAFCOの栄養摂取基準って、人の栄養摂取基準とバランスが似ている気がします。

犬は肉食寄りの雑食・・・という説明が一般的ですが、タンパク質19%の生活が果たして肉食寄りの食生活??と私には疑問符が付きます。

栄養学が学問として確立し、国家資格で栄養士が存在する人の領域でも、栄養に関してのパーフェクトバランスが分かっていないのに、犬や猫のパーフェクトバランスが分かるはずがないと思うんですよね

そうすると、うちの子にとって、何がベストなのかは、

獣医さんに勧められた、ペットショップの店員さんに勧められた、ネットの口コミが良さそう、、、と誰かに決めてもらうのではなく、自分で責任を持って決めるしかないのだと思います。

そして自分で決めるためには考えるための情報が必要で、今、手元にあるフードが一体どんなものなのか、まずは知る必要があります。

 

ということで、次は、ペットフードのラベルの読み方を書こうと思います。