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ペットが食べるフードについて ⑤

6月23日(土)、および7月3日(火)は都合により終日休診となります。

ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いいたします。

 

少し更新が遅れました。

『ブログの更新、楽しみにしてますよ♪』と言ってくだる飼い主さんもいらっしゃって、食については興味がある方が多いんだなあと改めて感じています。

 

たんぱく質の話です。

 

たんぱく質には

『動物性たんぱく質』と『植物性たんぱく質』があります。

動物性たんぱく質は、いわゆる『お肉』。

植物性たんぱく質は、代表的なものが、畑の肉と言われる『大豆』。

人間や犬や猫などの哺乳類は、当然ですが、動物なので動物性たんぱく質でできています。

 

たんぱく質は、20種類のアミノ酸が材料となって構成されており、そのアミノ酸には必須アミノ酸と言って、体内では合成できないので食べ物から直接摂取するしかないものがあります。

私も専門家ではないので、アミノ酸の小難しいカタカナは覚えられないのでざっくりとしたイメージで捉えています。

 

例えば、アミノ酸A、B,C,Dがあったとします。

A,B,Cは非必須アミノ酸とします。

AとBが結合するとCのアミノ酸ができるとすると、C=A+Bなので、アミノ酸Cは、Cとして食物から取り込まなくても、AとBがあれば合成できる・・・これが非必須アミノ酸のイメージです。

Dは必須アミノ酸とします。

これは、A+B+Cをしても、Dになることはできないので、直接食べ物から作らないと、体内で不足する、ということ。

アミノ酸が結合するとたんぱく質が作られます。

たんぱく質は、体のほぼすべて臓器の構成成分になり、その構成するアミノ酸の種類、バランスがすべて違っています。

例えば皮膚の細胞のアミノ酸がA+B+C+Dで構成されていた場合、Cの摂取が多少足りなくても、AとBがあればCは合成てもらえるので材料としてはまかなえるのですが、Dが足りなければ皮膚の材料そのものが足りないことになるので、肌がカサカサ、ボロボロになっていく、、、そんな感じでしょうか(本当は皮膚でいうとビタミンやミネラルも必須なのでタンパク質だけでは話が足りないのですが)。

 

・・・わかりやすく説明しようとして、かえってわかりにくくなったかも、です(スイマセン)。

 

で、そのタンパク質の構成成分のバランスをスコア化したもので”プロテインスコア”というものがあります。

上記のD・・・食物に含まれる必須アミノ酸の量を数値で表したもので、数値が高い食品ほど良質のたんぱく質を含むことになります。

同じ量のタンパク質を摂取しても、スコアが低いとアミノ酸がうまく利用できていないことになります。

 

◆プロテインスコア

鶏卵:100

イワシ:91

豚肉:90

鶏肉:87

牛肉:80

牛乳:74

大豆:56

豆腐:51

トウモロコシ:51

小麦:51

 

鶏卵は、その材料だけでヒヨコという筋肉・骨で骨格が作られ、内臓を持ち、羽をまとった生物として誕生できますのでパーフェクトなバランスと考え、そのスコアを100として、ほかのものを比較しているようです。

魚、お肉などの動物性たんぱく質はかなり数値が高いのに対し、畑のお肉と言われる大豆でも56、小麦やトウモロコシは51と、卵と比べると摂取したたんぱく質の利用率が半分くらい。。。ということになります。

 

なので、フードの組成でタンパク質30%のフードでも、主原料(一番最初に書かれている材料)が”穀物”の場合は、体の中での利用効率がかなり落ちることになりますので、たんぱく質が25%であっても主原料が鶏肉や豚肉などの動物性たんぱく質のほうが、体内での利用効率が上がるはずです。

 

なので、私は原材料が動物性たんぱく質をメインとして作られているフードをお勧めしています。

穀物メインのフードはおそらくそのタンパク質のかなりの割合が体に吸収されずに便に出てしまっている気がします。

穀物メインのフードは原材料が安くできますので、価格を抑えることができます。

なので全てとは言いませんが、安いフードは便の量がやたら多い”ドカ便”になることが多いので、フードの見直しをしてもらうと、同じ量与えているのに便があまり出なくなりましたが便秘なのでは?大丈夫でしょうか?、と聞かれることもしばしばです。

 

余談ですが、そうすると、日本食の文化は米を主食として肉をがつがつ食べる文化ではないのに、昔の人だって普通に体が維持できているのはなぜ?という思いが湧くかもしれませんが、例えば日本食に欠かせない、納豆・豆腐・味噌・醤油などの大豆製品。

大豆だけではプロテインスコアは56でしたが、玄米を一緒に取ると、大豆で不足する必須アミノ酸を玄米がカバーしてくれて足し算するとプロテインスコアが100に近くなるようであったことと、昔はイナゴのつくだ煮や蜂の子など、肉は摂取しなくても昆虫などの動物性たんぱく質を摂取することで不足分をカバーしてバランスを取っていたようです。

先人は、さまざまな穀物、野菜、季節のものを摂取することで肉食メインの文化ではなくてもその肉体を維持していたのですね。

ちなみに大豆はプロテインスコア56であっても、小豆やひよこ豆、レンズ豆などなど・・3種類程度の豆類を組み合わせて食べるとプロテインスコアはそれぞれの不足分を補い100に近くなるのだそうです。

 

じゃあ、動物性たんぱく質が主原料になっているフードはすべて良質か・・・というと、実はこれにもからくりがあります。

続きはまた近日中に書きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペットが食べるフードについて ④

 

フードを買うと、パッケージの裏か横に様々な表示があります。

『原材料名』

『保障分析値』

これらから、様々な情報を得ることができます。

以前のブログでもちらっと書きましたけどね。

 

往診の合間に、ホームセンターに立ち寄り、陳列されているフードからこっそり写真を撮ってきました(買わないのにゴメンナサイ)。

 

 

このフードの保障分析値は

たんぱく質 16.5%以上

脂質    12.0%以上

粗繊維   3.5%以下

灰分    6.5%以下

水分    10.0%以下

…リン以下はごく少量のためひとまず割愛。

これらと足し算すると、48.5%です。

では、残りの51.5%は???

答えは炭水化物です。

正確には、水分10%を引いた状態でトータル100に直して考えないといけないのですが、面倒なのでざっくりいきます。

粗繊維も炭水化物の仲間になりますが、私たちが吸収できない食物繊維と考えてください。

腸内環境を整えるためにとても重要な栄養素です。

ちなみに灰分とは、燃やした時にできるゴミと同じ、便となる残渣です。

 

炭水化物は表示義務がないので、大半のフードの表示はこのようになっています。

 

すいません、かなり見にくいですが、

保障分析値

たんぱく質 23.0%以上

脂質    10.0%以上

粗繊維    4.5%以下

粗灰分    8.5%以下

水分    10.0%以下

これらを足し算すると56%

炭水化物は44%となります。

 

つまり、ドライフードの約半分、50%くらいは炭水化物(でんぷん質)です。

 

 

ざくっと様々な商品の保証分析値です。

 

私は分子栄養学の勉強をしている観点から、人の食事において糖質制限を推奨している派です。

糖質制限、、、というより、現代人は炭水化物(糖質)のとりすぎでタンパク質などのほかの栄養素が足りなさすぎ。

麺やお米、パンや菓子でお腹がいっぱいになると満腹になり、タンパク質などの摂取量が絶対的に少ないと思っています。

糖質過剰がいかに怖いことなのかは、とてつもなく長い話になるので、またの機会に書けたらと思います。

 

人体も動物も体の構成成分である細胞はタンパク質と脂質でできています。(”脂肪”ではありませんよ)。

筋肉も骨も、血液も、ほかの体液も、皮膚も毛も、酵素も、ホルモンも、免疫力アップと言われる免疫細胞も、構成成分はメインがタンパク質。

そして体のタンパク質は摂取したタンパク質からしか作ることができません。

糖質はエネルギー源にしかならず、体内でタンパク質には変換してくれません。

牛などの完全な草食動物は、食べた草をタンパク質に変換しているのではなく、食べた草によって胃腸の中で共存している腸内細菌を育てます。

細菌の構成成分はタンパク質であり、胃腸内で育てた腸内細菌を栄養源として吸収して体を作っています。

犬は雑食に進化を遂げたといっても草食動物ではありませんから、摂取したタンパク質からしか体は作れません。

なのでフード選びの際には、基本的にはタンパク質の含有量が多いものを選んでね、という話をします。

 

そうすると、一番下の28%のタンパク質を含有しているフードが優良で、一番上の16.5%のフードが粗悪なのか、、という感じになります。

ただ、ここで、タンパク質の”質”が重要になります。

これがフード選びのひとつのキモになると思います。

 

そこで、今度は原材料名をみます。

原材料は基本的に重量が多いものから順に並んでいます。

 

これは最初にくるのが

トリ肉(チキン、ターキー)

そして、トウモロコシ、小麦、玄米、米、大麦、オート麦、、、

 

これは最初に来るのが

穀類(コーングルテンフィード、小麦粉、米ぬか、小麦ふすま、大麦糠、脱脂米糠)

そして

豆類(脱脂大豆、乾燥おから)

肉類(チキンミール、フェザーミール)

 

最初に来るのが

穀類(トウモロコシ、小麦粉、コーングルテンミール、フスマ、パン粉、コーングルテンフィード等)

そして、肉類(チキンミール、チキンエキス、ビーフパウダー、ササミパウダー等)

最初に来るのが

チキン

そして、家禽ミール(天然グルコサミン源)、

コーングルテンミール、米、シリアルブラン、小麦、オーツ麦

 

・・・というように、『穀類』である植物性食品がメインになるか、『肉類』である動物性食品がメインになるか、ここにはないですが、『豆類』である植物性食品がメインになるか、フードによって違ってきます。

 

え、たんぱく質=お肉じゃないの??

 

違うんです。

 

タンパク質は、動物性たんぱく質と、植物性たんぱく質があります。

植物性たんぱく質・・というと、『大豆』をイメージしますが、トウモロコシや、小麦などにもタンパク質が含まれています。

スーパーに行ったとき、

鶏肉が100g100円だったとして、1kg買うと1000円です。

小麦粉1kgが250円くらいだったとして、価格が1/4になります。

 

ちなみに、原材料は『重量の多い順』に並びます。

お肉は水分を多く含んでおり、穀類は基本的に乾いていますので、1番目に穀類、2番目に肉類が来ているフードのお肉の含有量はかなり少なくなると考えられます。

私たちが食べている肉は、100gに20gくらいのタンパク質が含まれます。

え、肉100gのほとんどがたんぱく質じゃないの?と思う方もいるかもしれませんが、肉はほとんどが水分なので、水分を抜いて考えるとそうなるのです。

なので、私たちが普段目にする『お肉』でタンパク質の量を確保しようと思うと、かなりの肉を使わないといけなくなりますので、コストがかかります。つまりフード代が高くなります。

価格を抑え、なおかつタンパク質量を確保するために、普通の『お肉』を使うのではなく、『〇〇ミール』を使い、『〇〇グルテン』を使って作ることになります。

『〇〇グルテン』の”グルテン”は、穀類に含まれるたんぱく質の成分。

パンを膨らませるのに薄力粉ではなく強力粉のほうがグルテン量が多いので生地がよく伸びて・・・の、あのグルテンです。

『小麦粉』そのものではなく、『グルテン』を使ったほうが、手っ取り早くタンパク量を増やすことができます。

 

『チキン』と『チキンミール』は違います。

『〇〇ミール』とは、レンダリングといって、人の食用に加工された肉のくずの部分や、人が食べない不可食部位を集めたものです。

なので、価格が安く抑えられます。そしてタンパク量を確保することができます。

レンダリングについては、ネットで検索すると詳しく書かれているサイトが沢山ありますので、気になる方は調べてみてください。

 

ペットフードが開発された経緯は先回書きましたが、人の食品業界が加工食品として使えなかった、本来であれば廃棄部分を利用してペットフードが作られている所以がこのあたりにみられるわけです。

 

加工されていてもタンパク質はタンパク質。

お肉から取っても、穀類やグルテンから取っても、タンパク質はタンパク質。

 

それを良しとするか悪いとするかは、購入する飼い主さんの判断だと思いますが、フードって、こういう風に作られていることを知らない方も多いかと思いますので、メーカーや、パッケージに大きく書かれている文言に惑わされることなくフードを選ぶ判断材料として考えていただければな、と思います。

 

実は獣医師である私は、数年前まで、こういったラベルの読み方を知らなかったのです。

私が不勉強であると言われればそれまでですが、実はこういったことを知らない、というか気にしない獣医師はとても多いはず、です。

自分も獣医の専門誌は定期購読していますし、病気についての専門書だってそれなりに読んできていたつもりです。

でも、病気の検査・治療法や新薬の情報は、いろんな獣医の雑誌で最新情報が特集されたりしますが、フードや栄養について特集を組まれることは、ほどんとないからです。

 

さまざまな素材が『加工されている』ということや、『穀類』『豆類』や、『タンパク質』について、まだまだ書きたいことがあるので次回に続きます。

 

ペットが食べるフードについて ③

フードのパッケージに書かれている『総合栄養食』とはなんなのか。

これだけ食べていれば、ほかのものは食べなくても、ペットの健康は維持できる万能食・・・本当にそうなのでしょうか?

 

ドッグフードの由来は先日書きましたが、アメリカでは大手食品メーカーが人の加工食品の残渣を利用してドッグフードを作る開発競争が起こりました。

そして、その利便性と、経済性の一致により、当時の獣医師の偉い人やペットフード協会が ”現在の肉中心のフードは不完全であり、家庭で出る残飯は有害で動物用に加工したフードが望ましい” という見解を出し、ペットフードだけで必要な栄養素を満たす、という方向性のもと、総合栄養食、の定義がなされたそうです。

ちょっと”偏見を持った見方”かもしれませんが、ペットフード業界も”産業”ですから、大きな流れは合っているのではないかと思っています。

 

アメリカにはAAFCO(米国飼料検査官協会)という組織があり、AAFCOが必要な栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル)の最小値を最大値を示したものを総合栄養食の基準としました。

日本では、ペットフード公正取引協議会という組織が、AAFCOの基準を採用し、日本でも総合栄養食としているようです。

 

では、総合栄養食の栄養バランスはどのように決められているのか?

その前に、人の正しい栄養バランスの基準って、どのようにして決められているか考えたことがありますか?
          

日本人の栄養摂取基準というものは、

6大栄養素(食物繊維を除くと5大栄養素)である、タンパク質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維(最近は、野菜などから摂取できる“フィトケミカル”“食物酵素”が第7、8の栄養素、という概念もあります)をどれだけとるとよいかという基準を定めているものです。

例えば、30~49歳 男性(日本人の食事摂取基準 2015年版より)
1日に必要とするエネルギー(カロリー) 2650kcal
3大栄養素の必要量

炭水化物:50~65%(エネルギー比率)ご飯5.5杯(1杯235kcal)
タンパク質:60g(実質はお肉で300gくらい) 
脂質:20~30%(エネルギー比率)60~80g(大さじ5~7杯)

あと、ビタミン、ミネラルが細かく記述されています。

じゃあ、その必要量はどのように決められているのか???

実はここに細かいエビデンス(根拠)はないんです。。。実験や研究の結果をもとにしているわけではない様です。

というか、少なくとも私が調べた中では明確な答えは見つけられませんでした。

タンパク質〇〇%、脂質〇〇%・・・・をさまざまな比率でサンプルを作り、1年間食べ続けた時に、5年間食べ続けた時に、20年、30年、食べ続けた時に体がどのように変化するのか、、、なんて人では実験のしようがないですもんね。

ビタミンや、ミネラルに関しては、欠乏してしまうと体調不良を起こしますから、(例えばビタミンC欠乏症による壊血病とか)、『必須栄養素が欠乏しない量』として規定はされているようです。

 

そして、この炭水化物やタンパク質の必要量は、明治時代以降の先人が食べていた主食、副菜 などのバランス(日ごろ私達が食べている食事のバランスのこと)を標準的に考えている・・・だけ、、、らしい。

つまり大雑把に言うと、昔の日本人は、ご飯を主食として、おかずにお魚や野菜を食べてきたことで問題なく生活してきたんだから、現代人もそれが基準でいいんじゃないのかな、ってことです。

 

で、ペットの総合栄養食って、どのようにして考えられたという話に戻ります。

犬に関しては3万年ほど前にハイイロオオカミとの共通の祖先から分化し、1万5千年ほど前から、農耕生活を始めた人類と共に生きてくよう家畜化されたという歴史があります。
犬は、自分で獲物を捕まえたり、人の残り物をもらったりしていくうちに、肉食から雑食に対応できるように、胃腸の能力が変化していったようです。

・・・なので、人の残り物を食べていて問題なかったんだから、犬や猫の栄養摂取基準は、人と同じようなものを食べていけば大丈夫なんじゃないのかな、という背景があります(たぶん)。。

科学的な根拠や実験データに基づくものではないらしいんですよね。

医療では、過剰なまでに”エビデンスが”、”エビデンスが”と言われ、エビデンスの整わない代替医療やサプリメントは、効果のあるものも沢山あるのに、まだまだ正しく認知してもらえていない状況なのに、獣医業界やペット業界では『総合栄養食』を食べていれば大丈夫、なのです(ちょっと愚痴?)。

 

AAFCOの基準によると、成犬のフードの栄養バランスは、タンパク質が19%以上、脂質が12%以上。

なのでAAFCOの栄養摂取基準って、人の栄養摂取基準とバランスが似ている気がします。

犬は肉食寄りの雑食・・・という説明が一般的ですが、タンパク質19%の生活が果たして肉食寄りの食生活??と私には疑問符が付きます。

栄養学が学問として確立し、国家資格で栄養士が存在する人の領域でも、栄養に関してのパーフェクトバランスが分かっていないのに、犬や猫のパーフェクトバランスが分かるはずがないと思うんですよね

そうすると、うちの子にとって、何がベストなのかは、

獣医さんに勧められた、ペットショップの店員さんに勧められた、ネットの口コミが良さそう、、、と誰かに決めてもらうのではなく、自分で責任を持って決めるしかないのだと思います。

そして自分で決めるためには考えるための情報が必要で、今、手元にあるフードが一体どんなものなのか、まずは知る必要があります。

 

ということで、次は、ペットフードのラベルの読み方を書こうと思います。

 

 

 

ペットが食べるフードについて ②

飲食店とか小売店、業態でいろいろ差はあると思うのですが、『原価三割』という考え方があるようです。

販売価格に対して材料費は30%以下に抑えないと、ほかの人件費、光熱費、設備費等々の費用を差し引くと利益が出ないということ。

実際には、加工されていない原材料費は1割くらいじゃないと、かなり厳しい状況もあるのだとか。

 

私はフードメーカーさんや、卸の業者さんからドッグフードを販売価格よりも安い卸値で購入します。

卸の業者さんであれば、私に卸した金額よりも安い価格で仕入れます。まあ当然のことです。

そうすると、そこまでのところでも、本来飼い主さんが購入する金額の半額くらいの価値になるのでしょうか。

その半額の価値の商品は、工場で作られているのであれば、工場を作る費用、稼働させる費用、従業員の給与、広告宣伝費、例えば海外からくるフードであれば遠路はるばる海を渡る輸送費などなどが、その費用に乗っかっています。

パッケージだってタダではできません。

そういうものを差し引いていくと、フードの原材料費って、いったいいくらなのでしょう???

これは、ペットのフードだけではなく、人の食品にも同じことが言えますけどね。

 

で、たとえば原価3割を当てはめたとすると、

1kg1000円のフード×30% →→ 材料費300円

1kg3000円のフード×30% →→ 材料費900円

 

うちのるいちゃんは体重3.5kgのちびっこなので、1kgのドライフードがあれば10日分くらいのご飯になります。

材料費300円で1日分が30円

材料費900円で1日分が90円

さて、この費用でるいちゃんの1日分のご飯を作ってみましょう。

業務スーパーや激安ショップを利用して材料を調達したとしても、さすがに30円で作れるものって???

例えば鶏肉1枚300円で買ってきて、それを10等分して、その1かけらが1日分・・。え~。そんなの可哀そう。。

(900円分の食材をいろいろ購入して30等分してもいいわけですが・・)

 

そもそも市販で販売されているお値打ちなドッグフードは、気持ち悪いくらい安いんです。

これが常識化されています。

 

知り合いの獣医師で、食の意識がとても高い先生がいて、自分で考える理想的なドッグフードを商品化できないかと業者さんと相談したことがあるそうなのですが、材料を厳選していくと、とてもじゃないけど現実的な価格では商品化ができない、という結論になったそうです。

 

なので、価格の高いフードがすべて素晴らしいとは言いませんが、価格の安いフードは『それなりの理由』が存在することになります。

 

でも、価格がどうあれ材料がどうあれ、ペットフードは『総合栄養食』とうたってあれば、栄養バランスが取れていて、犬や猫には万能の良い食品なのでは?という疑問がでます。

次は『総合栄養食』っていったい何??という話を書きます。

 

☆余談です

我が家は毎日目玉焼きとソーセージを2本食べています。

何年か前に、毎日ソーセージを食べていると大腸がんのリスクが上がる、という記事がネットであったので、これは添加物の問題なのかなと考え、大手メーカーのソーセージではなく、無添加、手作りのソーセージをネットで探してみました。

すると、1本100円くらいが相場。

我が家は夫婦2人なので、2本×2人分=4本を毎日消費しますので、朝のソーセージ代だけで400円、一か月で12000円!

さすがに朝ごはんにこの費用はかけられません。

・・・ということで、なんとソーセージを作る器械を購入し、我が家は自分で作っています(変なところで凝り性です)。

2kgのひき肉を買ってきて、まとめて作って冷凍保存すると1か月分くらいになります。

 

挽き肉を捏ねて、

羊腸に詰めて、

ボイルして、

乾かして、一本づつに切り離して、

パックに詰めて冷凍保存。

 

相当な手間です。。。

 

コストコで2kgのひき肉を買ってくるとお値打ちですが、知多半島には”知多豚”というブランド肉があり、それが脂が甘くて超~美味しい。

せっかくなら美味しいものを食べたいので、ちょっと奮発して、知多豚のひき肉で作っても、羊腸代やスパイス代を含めても1本100円で買うよりも半額くらいでできます。

 

加工食品って手間がかかりますから、素材の料金より高くなって当然なんです。

いままでソーセージやベーコンは使い勝手のいいお値打ちな食材かと思っていましたが、自分で作ってみて、いかに手間のかかるものかと痛感。。。

 

 

ペットが食べるフードについて ①

『先生がおすすめのドッグフードはありますか?』

時々聞かれる質問です。

私は極力メーカー名は答えないようにしています。

(るいちゃんが何を食べているかと聞かれたらお答えはしますが・・)

 

インターネットの口コミ、

友人同士の情報交換、

ペットショップさんやトリマーさんのお勧めなどと比べて、

”獣医師”の肩書から発する発言は、飼い主にとって受け取り方がかなり違うからです。

 

獣医さんが勧めてくれたんだから、間違いないだろう・・・と。

 

今はペットも健康志向に伴って、食材にこだわったプレミアムフードがたくさん出ており、何が一番いいのかわからないのと、

あと、そもそもパーフェクトなドッグフードは存在しないと思っているので。

おそらく間違いないのは、人が普段食べている食材で作ってあげることだと思っています。

 

前置きしておきますが、我が家のるいちゃんはドッグフードです。

私は朝からバタバタ仕事の準備をし、帰宅の時間もままならず、人のご飯も作るのが面倒になる日が多いですから、ワンコに手作りは私の生活パターンでは無理。

ただ、それなりに持論はあるので、自分が妥協できる範囲でいろいろ工夫はしています。

 

私が小さいころ、外で飼っていた犬はまさに”人の残り物ご飯”でした。ご飯に魚のあらに、野菜の残りを刻んで。。。

小学校高学年でポメラニアンを飼ったとき、ブリーダーさんに勧められたと母が作ったご飯がドライフードをふやかして、そこにササミをほぐしたものを混ぜたフード。

私は最初見たとき、『この子、マーボー豆腐食べるの??』って思いました(笑)。

 

そもそも、ドッグフードとは何なのか?

その歴史をひも解いてみます。

 

ドッグフードは1920年代のアメリカで、軍用馬の役目を終えた廃用馬の肉の処分に困って、犬に与えたのが始まりだと言われているそうです。

そしてそこから、1930年代にユニ・チャームやネスレなど、アメリカの大手食品メーカーが、人用の加工食品の廃棄部分の食材を利用するために、ペットフード産業に進出。

1950年代に、ピュリナ社が、現在のような、軽くて保存のきくドライフードを開発、『経済的なフード』として量産を開始したのだそうです。

 

つまり、ドッグフードは『手軽に使えて、保存もきいて、なおかつお値打ちなもの』

という歴史があり、おそらくその普及によって犬や猫がとても飼育しやすくなり、ペットを飼うお宅が増え、1匹だけではなく多頭飼いのお宅もたくさん増えてきているのだと思います。

なので一般家庭でも、上記のような認識でいる方が多いと思います。

また、獣医業界と大手ドッグフード会社は切っても切れない関係となり、療法食というものが、獣医師の治療の一環として、標準的に取り入れられるようになり、獣医師もドッグフード以外は与える必要がなく、犬は犬専用のものを食べるべきだと教育を受けてきているので、飼い主さんにもそのように勧めているのだと思います。

私も4年前までは、普通にそのように指導していましたから。

 

例えば、尿石症になって一般食から治療食に変更してもらうとします。

20年ほど前は3kg3000円くらいでしたが、今は3kg5000円くらいします。

食事を変更しないと尿石症はなかなか解決しませんし、食事を変更してもらえれば、ほぼ解決できるトラブルのため、継続的に続けてもらうことになります。

ホームセンターで普通に陳列されているフードと比べると、場合によってはかなり割高。

特に猫の尿石症は多く、しかも多頭飼いの場合、2匹以上が一緒の器から食べているケースも多く、一斉にフードの変更を余儀なくされることがあります。

飼い主さんには、『ペットフードは米より高いっ』と嘆かれたこともあります。

 

最近は健康志向の飼い主さんも増え、フードメーカーでも、できるだけこだわりの食材を使って作るメーカーさんも出てきており、それこそ1kg3000円以上するフードもあります。

手作り食に興味がある飼い主さんに、私の知識の中でお伝えできる手作り食の説明をすると、特に大型犬になると『食材費がかかる過ぎて我が家では厳しい』と言われることもあります。

 

では、1kg1000円のフードと、1kg3000円のフードと、手作り食にかかる食材費と、何がどう違って、どのように考えるといいのか、ということを次回書こうと思います。

食と栄養ネタは書くと長くなるので、しばらく続きます。